zekaoh's blog

将棋、雑記など

「ものの歩」9話目の感想

「ものの歩」9話目の感想

今週は信歩対十歩の中盤戦。十歩が将棋を始めたきっかけやその背景が語られます。
片や何でも上手にこなす天才、片や要領が悪い不器用な鈍才。全く違う才能、境遇ですが、戦っている間にいつの間にか心が通じあっていく二人。
お互いに孤独の辛さを知っているからなのか、十歩の心の声に気づき、それに指し手で応えようとする信歩。十数手の間に濃密なドラマが描かれてますね。
十歩の口元が崩れそうで崩れない、将棋がわからなくても表情だけでもスリルのある描写になっていて、今回も読み応えのある回だったと思います。
来週はこの戦いに決着がつきそうですが、これどっちが勝つのかなあ。そして信歩と十歩の関係はどうなるのかも気になりますね。十歩は信歩の裏返しみたいなキャラクターなので、今後かなり重要な存在になりそうなのですが、今後どう扱われていくのか意外と難しそうな感じもします。
まあまた来週のお楽しみですね。

ジロリ

個人的に面白かったのは十歩がテレビで見た棋士のビジュアル。これモデルは誰だろう。妙に顔が怖いなあ。
この棋士が相手を睨んだので十歩が将棋に興味を持った、という設定なんですが、やっぱり羽生名人の羽生睨みが元ネタですかね。
対局中ジロリと相手を見る羽生睨みですが、あれは実際に睨んでるわけではなく、手を読んでるうちに無意識にそうなってしまうんじゃなかったっけ。

そういえば監修の橋本崇載八段もジロリで有名ですよね。

対局者をジロリと見る橋本八段。あ、相手見てないっすね。


対局者をジロリと見る橋本八段はこれです!
あ、見てないっすね・・・


これは2015年3月8日放送、NHK杯でのハッシー 二歩事件の画像。
十歩は将棋を始めて一ヶ月と言っていたので、時期的にこれを見た可能性は高いな・・・(信歩との対局時は4月8日)
実は行方尚史八段のこの驚いた表情を見て十歩は将棋を始めた・・・わけはない。

「キミはオレと 遊んでくれるの?」

どうでもいい話は置いといて盤面です。

第一図

▲1五銀まで

これは前回のラストで信歩が指した手。
十歩の△5七歩の垂らしに対し、信歩の指し手は十歩の予想を裏切る▲1五銀。棒銀で攻め合う展開ですね。

第二図

第一図から △1四歩 ▲2四歩 △同歩 ▲同銀 △同銀 ▲同飛 △5六銀

棒銀とは飛車先の歩とこちらの攻めの銀、相手の守りの銀を交換する戦法です。部分的には先手成功なのですが、相手に駒を渡すことにもなるので、守りを乱された先手陣にとっては諸刃の剣。
後手は△2三歩と打ってとりあえず飛車先を止めたいところですが、十歩は放置して△5六銀。信歩が「強い・・・!!!」と言ったのは飛車先を受けなかったからですね。

第三図

第二図から ▲5六同銀 △5八歩成

▲同銀 △同飛ではなく、△5八歩成が十歩の狙い。角取りと銀取り。
本譜は角を逃げない指し方ですが、ここで▲4六角と逃げたらどうするのか、という疑問も浮かびます。うーん△5六飛と銀をとってしまうのかなあ。

変化図

第三図から▲4六角 △5六飛

こうなったらどっちが優勢なんですかね。俺っちわかんないっす(ふてくされ)。

「お終いだ ・・・キミも将棋も」

第四図

第三図から ▲5三歩 △同飛 ▲5四歩 △同飛 ▲4五銀 △6八と ▲同金 △5一飛 ▲5三歩

今週の最終図。最終▲5三歩は漫画内では悪手確定とされてますが果たしてどうなりますか・・・

角筋問題

でこの局面、漫画内で「角筋を受けるだけ」とか「何で角筋を受けない?」というセリフがあるんですが、これはどういうことなのか自分にはちょっとわからなかったです。この場合角筋というのは後手の2二の角の筋だと思うんですが、6六に歩がいるので通ってないんですよね。
もしかしたら「角筋」じゃなくて「角打ち」? でも王手飛車の筋とかもまだ無いしなあ・・・

これは想像ですが、最初に作った棋譜でストーリーを作ったけど、何か大きい問題があって直前で棋譜を差し替えた、みたいなことが起きたんじゃないかと・・・
まあまだミスと決まったわけではないんですが、前回の棋譜も後手が一手足りなかったし、週刊連載で盤面作成とストーリーをうまく整合させて漫画にするのはすごく大変なのかもしれないなあ。

盤面なんて将棋ファンしか見てないかもしれないんですが、作品の完成度は高いほうがいいですよね。大きなお世話ですが執筆の体制がどうなっているのか気になってきました。できるだけ将棋のわかる方がサポートしてほしいところです。

と、勝手読みをしたところで今週の感想はおしまい。