zekaoh's blog

将棋、雑記など

「ものの歩」18話目の感想

「ものの歩」18話目の感想

今週は増量ページということで読み応えたっぷり。第一巻重版記念とのことなので、人気も出てきたんですかね。十歩人気が・・・

それから漫画本編の前のページに「ものの歩 プロへの道も一歩から」という記事ページが始まりました。作者の池沢先生、担当M氏、そして監修の橋本八段による鼎談形式の情報コーナーのようです。今回はプロになるには、というテーマで奨励会の仕組みなどが解説されています。
ほとんどの人は将棋界の仕組みを知らないと思うので、こういうコーナーは非常にいいですね。何回続くのかわかりませんが、将棋界の話だけではなく、漫画に出てくる棋譜の解説や、ハッシーの監修の仕事ぶりなど漫画制作の裏側の話なども読んでみたいですね。

また奨励会ピラミッドの図にかやね荘のメンバーの現在の段級位が書かれていました。それによると泰金、銀雅は三段、桂司、香月は初段、そして1級にみなとということでした。
信歩や竜胆は奨励会に入会して、桂司や香月らに追いつくことになるのかどうか、まだまだ先の話だと思いますが、それもこれからの楽しみの一つですね。


ストーリーは今週は凄かった。不登校の十歩、在籍している高校に将棋部はなく、この大会になんとしても出るためにわざわざ将棋部のある高校へ「転入」!! これは凄いなあ。高校へ行く十歩を見送るお母さん泣いてるよ・・・お母さん良かったね。ここの回想シーンはびっくりしすぎて正直思わず笑ってしまいました・・・

十歩を大会に参戦させるための無理矢理感はありますが、ここまで熱いキャラクターを見せられるとツッコミも忘れて感動してしまいますね。
「その他大勢に混ざりたくない」などとこじれた自意識が健在なのも面白い。十歩は信歩と出会って素直になったかのように見えて、より深い方へ性格をこじらせてしまったのかもしれないな・・・

対する駒江第一の岬もこれまた面白キャラでした。劣勢になるとすぐ投了。優勢のまま勝ち切ることを美学とする・・・この設定も凄いなあ。序中盤の研究家で、1年間劣勢になったことはない、というありえるんだかありえないんだかわかりませんが、とにかく十歩にも負けない面白いキャラクターでした。
両者ともどこか何かをこじらせてますね・・・将棋とは別にこじらせ対決になっていて面白いなあ。どっちが勝つのか、次号決着のようですが最高の展開を期待します。

もし仮に次に岬が信歩と戦うことになると、信歩は相当序盤での苦戦が予想されますね。そこで終盤逆転して勝つパターンになるのかな。
十歩が勝って信歩戦だと、十歩は目標が無くなってまた不登校になりそうな・・・もし十歩が勝ってもお母さんを泣かせない展開を希望します。

今週の盤面

十歩 対 岬
第1図

▲7四歩まで

早石田急戦。先手は十歩と思われます。
このタイミングの▲7四歩は鈴木大介八段の手ですかね。鈴木八段はこの手で新しい戦法を開発した人に贈られる升田賞を受賞しました。
端歩が突き合ってあるのが珍しい形でしょうか。これが定跡なのかはわかりません。

▲7四歩の後の進展はこちらをどうぞ。大駒を交換していく派手な展開になります。
石田流 - Wikipedia

第2図

△5五歩まで

盤面がよく見えないので想像図です。先手は角2枚で攻め、後手は飛車2枚で受ける展開になったんでしょうか。今は後手が反撃したところに見えますが形勢はよくわかりません・・・

第3図


このコマでは後手の1四歩が1三歩になってますね。ここは作画のミスと思います。
ここは後手が指したところだと思うのですが、何を指したんでしょうか。△8三飛車かなあ。

第4図

▲7二歩まで

今週の最終図。おそらく第3図の次の局面だと思います。
本当はもう一歩十歩の駒台にあると思いますが、漫画のコマにはありません。これもおそらくミスでしょうかね・・・

この歩は金や銀で取ると王が取られてしまう(飛車や角が王様のラインにいるため)ので取れません。そこでそれ以外の手を指すことになるのですが、どう指すのが最善か、それは各自お考えを・・・(またこのパターン)
もちろん自分は次の手は全然わかっていませんが、次の一手問題としてこれはいい問題なのかどうなのか、来週のお楽しみですね。

まとめ

今週は十歩戦の他に歌川雪之丞五段(当時)という棋士が岬の回想に登場しました。今後信歩たちに関係してくるキャラクターでしょうか、かなり変わり者の棋士のようですが、モデルは橋本八段? 大会後の展開も面白そうですね。

とにかく今週は十歩に尽きますね。最後の方の十歩はもはや別人。何故そこまで彼は信歩と戦いたいのか、というとこれはもはや理屈を超えた感情になっているように思えます。ここまで十歩のキャラクターが振りきれると自分なんかはその迫力に圧倒されるほかはなく、素直に十歩を讃えたいと思うのでした。
来週は悲しいことにならないといいけどなあ。どうなりますか。

「ものの歩」17話目の感想

「ものの歩」17話目の感想

十歩戦で次週増量ページとか、ものの歩は十歩でもっているんですね・・・

といきなり結論が出た17話目の感想ですが、今週は個人的に気になっていた矢倉対振り飛車の戦いが出てきましたのでまずはそちらから。

第1図

△6五歩

先手は信歩、後手は常条(とこじょう)高校大将と思われます。
6筋から後手が仕掛けた局面ですが、普通はもう一手△5四銀とかするところでしょうか。その場合は先手は角を右方面に繰り替える?そうなるのが嫌なので早めに突いたんですかね。

第2図

第1図から ▲6五同歩 △同桂 

先手は堂々と歩を取り銀桂交換に。銀より桂馬のほうが一般的には価値が低いので、このやりとりでは信歩が駒損をした事になります。

第3図

第2図から ▲6六銀 △7七桂成 ▲同桂

で、この局面。後手の常条高校大将は先手6筋の形を厚みと表現しました。厚みとは何かですが、駒の利きがいっぱいある場所一帯という感じですかね。守る方からすると安定感があり、攻める方からするとやりにくいわけですが、はたしてこの局面は先手が手厚いのかどうかというと・・・よくわかりません・・・
形勢もどうなんだろう。後手がゆっくり指せば駒得のぶん悪いはずは無いような気もしますが、漫画ではいきなり終盤戦になってしまいました。

1月19日追記
この局面の厚みや形勢についてコメントでご意見をいただきました。ぜひ参照なさって下さい。

第4図

▲7三歩まで

駒がよく見えないのでこの局面は想像図です。間違っているかもしれませんが一応この局面で後手投了。一体常条高校大将に何があったんでしょうか。

この後ですが▲7三歩に△同銀なら先手は▲6三銀と縛る? えー以下どうなるのかは各人が考えてくださいませ・・・
とりあえずこの局面ではもう受けが無いのかな。持ち駒などこの図が間違っているかもしれないので、この後には即詰みもあるのかもしれません。


信歩の矢倉対策は逆転の発想であえて不利とされる局面に持ち込むことでした。なるほどこれは意外と有効かもしれませんね。心理的な油断も誘う、いわゆるハメ手みたいな作戦と言えるでしょうか。

ただ具体的な手順はわかりませんが、正確に指された場合はやっぱり振り飛車がよくなりそうな感じはします。
竜胆が「読みの勝負に持ち込めばそこは信歩の土俵」と言っているのでこの作戦は棋力差があるのが前提になってますね。
矢倉対振り飛車の根本的な対策とまではいってないと思うので、さすがに「矢倉に乗った時点で負けは決まっていた」というのは言い過ぎのような気もします。
本当は強い人に対しての振り飛車戦を見てみたかったところですが、まあでも一応答えを出してくれたので個人的には満足です。矢倉対振り飛車戦はこれくらいにして、これからの信歩の対戦は矢倉戦を掘り下げる形でやってほしいですね。

まとめ

ストーリーではみなとがメガネの女の子を連れて登場。名前が能塚(のづか)と判明しました。おそらく下の名前は玉美(たまみ)でしょう。能塚玉美、うーん違うかな・・・角美・・・銀子・・・?
まあそんなことは置いといてみなとの能塚さんへの反応が不審ですね。一体みなとは信歩にどういう思いを抱いているのかな。能塚さんは確実に信歩に気がありますね。信歩はモテモテでいいなあ。結構こういう展開好きかも・・・

で、ラストは十歩と駒江第一の岬の対戦が決まり、「次号、大増23Pで激突!」になるわけですが、これ十歩の回想シーンが入ったり信歩が泣いたりして(?)3週ぐらいやりそうな感じがするんですけどどうなんでしょうか。
十歩が勝つと良いけどなあ。おそらくそれは無いだろうし・・・いや、あるか? やっぱり無いか・・・
どういう戦い、どういうドラマを見せてくれるかわかりませんが、来週が楽しみなのは間違いないですね。がんばれ十歩!

「ものの歩」第一巻の感想

「ものの歩」コミックス第一巻を購入。

おまけのカードが裏についてました。
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ただ買う時にこのカードがバーコード部分を隠してしまい、読み取るために店員さんがカバーのビニールを破いてしまうという事態に・・・

帯には監修の橋本崇載八段の魂のメッセージ。

ハッシーは外しませんね。ただこのギャグで笑う人はどれだけいるのかは気になります・・・

中身についてですが、まずジャンプ掲載時には描かれていなかった信歩の右手の包帯などが修正されています。
残念ながら棋譜詰将棋の解説ページは無し。ハッシーのコラムなども当然無し。
収録話は一話から七話まで。十歩が登場する回までですね。

一番のおまけは各話の間に掲載されたキャラクターのプロフィールでしょうか。
信歩、泰金、銀雅、桂司、香月、みなとのフルネーム、誕生日、好きなもの、趣味などの色々な情報が記載されてました。
詳しい中身は買って読んで頂くとして、ここでは今まで本編で出てこなかったキャラクターのフルネームと将棋の得意戦法を書きますかね。

銀雅(あがた ぎんが) 居飛車党。分厚く攻める将棋。詰将棋が好き。
弥代 桂司(やしろ けいし) 振り飛車党でどちらかと言えば受け重視。センスで指す。
櫻井 香月(さくらい かづき) 居飛車党。じっくり指す将棋が好き。
風丘 みなと(かざおか みなと) 振り飛車党。しっかり受けてからのカウンターが好き。

残念ながら泰金の得意戦法はプロフィールにか書かれていませんでした。

プロフィールで驚いたのはみなとのブラジャー設定。なんだかものすごく詳しくブラジャーについての記載があり、作者さんのこだわりが感じられすぎてびっくりしました。作者さんは男性なんですよね・・・? 面白いなあ。そのこだわりを活かしたブラジャー回を期待しています!(若干嘘)


あとがきの漫画では作者は将棋界ファンなだけの初心者で、そのぶん知らない人も楽しめるように・・・と書かれていました。
将棋初心者とのことなので、やっぱり今のところはまだどこか将棋関係の部分が不自然に見えてしまうのはしょうがないと思います。
問題は将棋を知らない人が読んでも楽しんでもらえるかどうかですが、成長もの、青春ものとしても楽しめますし、勝負の世界の真剣さや怖さみたいなものも割とうまく表現されていると思うので、おそらく大丈夫かなと思ってます。

この第一巻を通して読んでみると濃厚というかすごく中身が詰まってる感じがするんですよね。軽い重いで言えば重い。個人的な感覚ですが、読んでいると重さに引きずられるような感じがあります。
この重さは何だろう、勝負の世界で必死に戦っている人たちを描いているから当然重たい部分もあるんですが、それだけではない不思議な重さがありますね。作者の他の作品は読んだことはないんですが、何だか面白い作風のような気がします。

ああ自分が感じた重さはおそらく作者さんの熱量の重さだな・・・ということにして、よくわからないままコミックス一巻の感想を終えたいと思います。うーんいいかげんなまとめだな・・・

「ものの歩」16話目の感想

「ものの歩」16話目の感想

皆様あけましておめでとうございます。今年もものの歩の感想を書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

ということで今年一発目のものの歩ですが都大会がいよいよ始まります。
竜胆の宿敵蒼馬のいる将和高校に当たるためには決勝まで勝ち進まなくてはならない信歩たちの千賀高校。
会場にはライバルとなる駒江第一高校や将和高校の面々が続々と現れ、それぞれ個性的なキャラクターを見せてくれます。
特に駒江第一は部長の岬と士(つかさ)というコンビが漫才を繰り広げ笑わせてくれます。面白いながらもその余裕っぷりが実力の高さをうかがわせ、大会での千賀高校との激戦を予想させます。

将和高校は相変わらず部長の顔が怖い・・・まあそれはいいとして、竜胆を見た蒼馬が軽い挑発。

「来ませんよ あの二人では 絶対に来ません」 by蒼馬

おお、悪役のセリフだ。いい感じに盛り上げてくれますね。ラストの訂正で思わず笑ってしまいましたが・・・

そして次に現れたのはなんと相楽十歩。鎌谷商業の将棋部員として密かに大会にエントリーしていたとのこと。
目的は信歩と再び本気で戦うため・・・熱っ、十歩くん、なんという熱さよ。
実は学校に行ってなかった十歩。高校生プロゲーマーと名乗っていたので、不登校だっただけで在籍はしていたんでしょうかね。
信歩と戦うために学校へ行って将棋部に入り、ここまで準備したのかと思うと十歩はすごいエネルギーの持ち主だなあ。

十歩編はわりと唐突に始まったので、連載時はちょっと違和感があったんですが、一応ここまではシナリオ通りだったんですかね。十歩くんがここまで変化するとは全く思わなかったな。すごくいいキャラクターになっていると思います。こういう各キャラクターの変化や成長を見るのも楽しいですね。
ただ十歩は信歩と戦えるかどうかは・・・? うーんちょっと気になるところです。


大会前の顔見せが終わっていよいよ大会がスタート。
通常より一人少ない二人で出場する千賀高校ですが、大将には竜胆ではなく、なんと信歩が座る作戦に出ました。
これは竜胆の目的である蒼馬が副将として出るとの予想からですが、おかげで信歩が強い大将と戦うことになります。
かなりリスクが高そうな作戦ですが仕方ないんですかね。オーダーは大会通じて固定なのかな。
まあ漫画的には面白い展開ではあります。でもこれ思惑が外れて信歩VS蒼馬になるフラグじゃないかなと思ったり・・・どうなんでしょ。

今週の盤面

竜胆 対 玉南高校副将


終局図。先手が竜胆と思われます。最終手はわからないけど▲4二歩成とか?
▲2一龍から詰みは・・・まだ無さそうだけど受けも無いのかな。

信歩 対 玉南高校大将

第一図

後手がおそらく信歩。持ち駒が描かれておらず不明なため盤面は正確ではありません。

第二図

△5五飛と角をとったと思われる局面。
1月5日追記
コメントで△5五飛に対し先手は▲同歩とせずに▲8六銀(△9七角の防ぎ)とする手があると教えていただきました。この手で先手勝勢の局面ではないかとのこと。ありがとうございました。
1月6日追記
上記追記と同じ方から▲8六銀には△3九角~(以下コメント参照)で後手良しっぽいとの訂正コメントがありました。色んな手があって将棋は面白いですね。
自分もたまには盤面を見て考えないとな・・・


第三図


終局図。△8八銀まで。以下▲同玉 △9七馬からどこへ逃げても銀打ちまで。

玉南高校の大将は信歩の攻めを「矢倉に轢かれる」と表現しました。なんとなく不思議な表現ですが、筋に入った攻めで受けようが無かったんですかね。
後手の銀が6五にいるのが面白い形のような気がします。端攻めを絡めてうまく攻めた将棋だったんでしょうか。全部の棋譜が見てみたいですね。

一回戦は運良く矢倉になった信歩ですが、次からは相手が矢倉を避けてくる可能性があり、振り飛車を相手にしなければならないと竜胆。さあここは注目ポイントですね。振り飛車戦での戦い方はどうするのか、特訓編では全く対策は触れられていなかったので、信歩に秘策はあるのか、そしてハッシーに矢倉対振り飛車のアイデアはあるのか、ものすごく期待しています。

まとめ

本格的に大会が始まりましたが、やっぱり二人だけの戦いだとルール的には良いのかもしれませんが、相手チームの三人目の人が見てるだけになるので何か可哀想になるんですよね。
ただ漫画的にはテンポがあっていいのかな。キャラクターも分散しなくて描けるし、出てくる盤面もあり過ぎなくて良いのかもしれません。とってつけたような三人目を出すよりいいのかも。

まあとにかく新キャラも面白そうですし、なにより十歩と信歩の戦いもまた見られそうで楽しみです(あればですが)。面白くなってきましたね!


コミックス第一巻も購入したのでその感想はまた明日でも。


1月13日追記
コメントで信歩対玉南高校大将戦の予想棋譜を頂きましたので、
棋譜ぺったん -- 将棋の棋譜をWebに貼り付けようを使って再現してみました。



棋譜を見やすい将棋盤で表示するために,Fireworks さんが作成されたアニメーション付棋譜再現プレーヤー 「フラ盤」を使用させていただいています.)

ここでは先手は信歩になっています。
フラ盤のコメント欄はChromeなどのブラウザによっては文字化けが起きる可能性があるそうです。ご了承下さい。

「ものの歩」15話目の感想

ものの歩」15話目の感想

今週は信歩の修行編。
信歩の修行は少ない持ち時間でひたすら竜胆と矢倉を指し続けること。ストレートな修行で、不利な戦型になった時の秘策とかは特に無いようでしたね・・・
2ヶ月間で約8万分、数をこなして矢倉に慣れるのが大きな目的ですが、持ち時間を5分から1分将棋にまで徐々に減らしていき、反射的に指せるようにするのも狙いの一つ。
何故こんな練習をするのか、というと今週また登場した十歩くんの解説シーンがあり、信歩は盤上すべての手を端から検証していっているので、選択肢の広い局面ではいい手を導き出すのに時間が掛かりすぎるとのこと。
また終盤のように選択肢の少ない局面では信歩の深い読みが活きるので、矢倉など戦型を限定して選択肢を絞るのが信歩の能力を活かすには有効ということでした。
この十歩解説を聞くと信歩はまるでコンピュータ将棋プログラムですね・・・序中盤が弱かった頃の・・・おそらく作者もそういう感じで信歩の将棋を捉えていると思います。
実際にはこんなタイプの人はいないと思うので、こういう強化の仕方はあくまで信歩にのみ許されたフィクションとして見たほうがいいのかもしれません。信歩のキャラクター設定を活かすストーリーということでしょうね。
今後の信歩の対局がどのように描かれるかわかりませんが、不利な局面でも恐ろしいまでの読みでひっくり返していく逆転の将棋になりそうです。そういう将棋に説得力を持たせられるかどうかは作者さんらの腕の見せ所で、自分は期待したいところです。


今週の信歩は将棋の成長の他にも、前回パニックになったクラスメートからのカラオケの誘いをスムーズに断る、という人間関係での成長も見せてくれました(ここの脳内の樹形図はなんか面白い)。
そしてその様子をこっそり窺う眼鏡の彼女の「・・・」が意味深ですね。まさか・・・
また特訓でボロボロになった信歩の体を優しくマッサージするみなと。いや優しくは無いですが、なんとなくみなとは信歩を気にしているような感じもしますね。
信歩とみなと、そして眼鏡の子・・・これは三駒関係、いや三角関係の展開が待っているんでしょうか。
そしてそこにjippoも入るか入らないかなど、色々興味が湧く展開が待っていそうですね・・・(妄想)

ちなみに「将棋で筋肉痛なんて聞いたことない」とみなとは言ってましたが、渡辺竜王は中学の頃、道場で将棋を指していて原因不明の足の肉離れをおこしたので上には上がいますね!(ソースは「将棋の渡辺くん」27話より)

今週の盤面

竜胆対信歩の矢倉特訓

△7七銀まで

信歩が勝った一分将棋の終局図。おそらく信歩が後手番。
「中盤の両取りでやらかしたな・・・」と竜胆が言っていたのですが、ここから果たして棋譜は予想できるのでしょうか。

信歩と泰金の対局

▲7七銀まで(想像図)

先手6八の銀が7七へ上がったところ。
角道を止めたノーマルな振り飛車に対し、居飛車が舟囲いにしたら6八の銀は5七へ出て急戦になるのが普通ですが、信歩はあえて7七に上がって矢倉囲いを目指しました。
信歩の不利な戦型でも迷わず突き進む意思を見た泰金は信歩をよく頑張ったと讃えます。なかなか感動的なシーンでした。
あんまり絡んでなくても大体泰金がエピソードを締めますね・・・便利なキャラクターだなあ。

漫画ではこの後は指されませんでしたが、このまま行くと矢倉から玉頭位取りの形になるんですかね。それとも穴熊?
実際にこのままやったら信歩はボコボコにされて自信をなくしてしまいそうな気もしますが・・・スピーディな展開もいいですが、もっと遅い展開にして、信歩対泰金の対局をじっくり描いて欲しかったかなとも思います。
まあ矢倉特訓の成果は来週以降のお楽しみということで・・・あ、次号は来年1月4日発売ですね。


コミックス1巻もその日に発売ということで、久々に公式ページを見たら1巻の表紙画像の他に2巻の発売予定日も載ってました。2巻は2016年3月4日(金)発売予定。
『ものの歩』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト

http://www.shonenjump.com/j/comics/assets_c/2015/12/mononofu001-thumb-137xauto-3353.jpg

第1巻の表紙画像。おまけページとかあるのかな。

今年の「ものの歩」も感想記事も終わりということで、かなりお粗末な漫画感想でしたが、読んでくれた皆さんありがとうございました。
それではまた来年お会いしましょう。

「ものの歩」14話目の感想

ものの歩」14話目の感想

今週のものの歩はゴールデンウィーク中の話。かやね荘は帰省で人がいなくなるため閉まり、信歩は竜胆の家で特訓合宿。
団体戦の組み合わせも決まり決勝まで勝ち続けなければ蒼馬と戦えない信歩たちですが、信歩の将棋は絶不調。いらいらした二人は喧嘩して信歩は家を飛び出すはめに。
行くところもお金も無く、とりあえず飛び出た信歩ですが、そこに十歩から連絡が・・・

ということで今週は十歩が再登場。十歩の住むアパートか何かで大会以来の再会ですが、普段から連絡しあっているようなので仲が良い二人。
というかドアを開けた時の十歩の表情が・・・いや、それについては触れまい・・・

十歩も初心者ということで、不器用ゆえに伸び悩む信歩に得意戦法を持つように勧めます。あれこれ考えずにその戦法だけを究めるのが良いのではないか、そして信歩が選んだ戦法は「矢倉」。
他の戦型になった時にうまく対応できなくなるリスクはあるものの、メリットのほうが大きいという判断ですかね。
何かのヒントを掴んだのか、速攻で竜胆の元に帰る信歩に十歩はなんだか悲しそう。せっかくピザを頼んだのに・・・いや違う、もっと純粋な・・・(以下略)

矢倉の鬼

矢倉の例


この先手と後手の囲いが矢倉囲い。一般的には先手が攻め後手が受ける。後手は先手の攻めを受け止めて反撃。
お互いの玉頭が戦場となり、正面からぶつかり合うような華々しい戦いが見られます。
矢倉戦は長い歴史があり、棋士たちによって様々な攻め筋や対策が開発され、一口に矢倉と言っても様々な戦法があります。

矢倉についてはこちらのサイトがが詳しいです。
将棋入門一歩前! - 矢倉(新24手組み)
将棋入門一歩前! - 矢倉(25手目を巡る攻防)
将棋入門一歩前! - 矢倉(急戦)

うーん概要を把握するだけでも大変ですね。自分もよくわかってません。
信歩は矢倉のスペシャリストを目指すとのことですが、具体的には▲4六銀▲3七桂戦法をメインにするんですかね。最後のページの盤面はそんな感じでした。
振り飛車に対してはどうするのか、漫画内で十歩は振り飛車にも矢倉でさせばいいじゃん、と言っていましたが、さすがにそれはあんまり見たこと無いですね。

先手矢倉 対 後手振り飛車の例(盤面適当)


はたして適当に作ったこの図が漫画に出てくることは・・・無いですね。でも振り飛車戦はどうするんだろう。
振り飛車という手はあるけど、居飛車感覚、矢倉感覚でさせるのかな。

振り飛車の例(盤面適当)


見た目は矢倉戦を左右逆にしたようなイメージではあるものの、実際はだいぶ違う指し方、攻め方になると思います。
(※12月15日追記 矢倉と相振り飛車の違いですが、角の位置が大きく違うとのコメントを頂きました。ありがとうございました。勉強になります。)

監修のハッシーも矢倉を指すので、信歩の矢倉戦は何か面白い戦型や対策が見られるんじゃないかと期待しますがどうでしょうか。

矢倉とか専門用語が出てきたので、ものの歩もなんだか本格的な将棋漫画になってきた感じがします。これから感想書くにも棋力が問われていくんじゃないかと心配です。

純文学

※12月15日追記

以下の文章に出てくる「純文学」ですが、どうやら米長邦雄永世棋の定義によると矢倉戦特有のネチネチとしたもつれ合いの様を表現したもののようです。コメントありがとうございました。そっちのほうがわかりやすいですね。
こちらの記事も参考になりました。申し訳ございませんでした。
「ものの歩」第14話。純文学の意味を勘違いして矢倉の鬼になる信歩。彼を奪い合う十歩と竜胆 | 将棋ワンストップ・ニュース



作中に出てきた「矢倉は将棋の純文学」と言ったのは米長邦雄永世棋聖です。お写真はこちら

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イエーイ


「純文学」という意味ですが、色々な解釈が出来る表現なので難しいですね。普通に捉えれば本格的とか芸術的とか、将棋を代表するような戦型という意味でしょうか。
個人的な考えですが、矢倉戦は非常に難解な壮大なパズルを解く感じがします。そのパズルに挑む棋士は人間の不可解さを表現しようと挑む文学者と似ているんだと思います。ってちょっとおかしいかな・・・?
とにかく矢倉を表すのに上手い表現だと思います。その米長永世棋聖は数年前にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

まとめ

今週は何だかまとまらない感じの感想になってしまったような。これは全て異常に可愛く描かれたJIPPOくんのせいですね・・・作者は狙ってるなあ。

ストーリーについてですがやっぱり大会には二人で出場するのかなあ。今週の流れだと十歩も団体戦に絡んでくる?
味方ではなく敵として・・・そういう展開も一興ですね(さすがに無いか)。
今週は掲載順も上がったしまだまだ連載は続きそう。来週も楽しみです。

連盟HPに将棋文化検定~良問振り返り~のコーナーが開設

日本将棋連盟のHPに「将棋文化検定 ~良問振り返り~」というコーナーが開設されてました。

将棋文化検定 ~良問振り返り~ | お知らせ|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟

これまでの将棋文化検定の問題の中から毎週数題ずつ掲載されるとのこと。
早速今週の問題をやってみましたが、5問中2問正解・・・後ろ3問は全滅でした。難しいですね。


ちなみに3問目の士女○○図屏風の画像はこちら
(画像元所蔵企画展「湯女図」と初期風俗画 | MOA美術館
http://www.moaart.or.jp/wp-content/uploads/art_image-3.jpeg
小さいですが画像ですがこれを見れば答えがわかるかも。
それにしても初の将棋切手の問題とか答えるにはかなりの知識が必要ですね。もしかしてこの世界では常識だったりして・・・