「ものの歩」22話目の感想
お詫び
2月24日追記
今週のこの感想記事の将棋の部分ですが、前提となる棋譜の認識に誤りがあり、結果として批判が間違ったものになりました。
この間違った記事を読んでくださった皆さん、またあらぬ批判をしてしまった作者や監修者の方々に深くお詫びを申し上げます。申し訳ございませんでした。
修正というか、追加の図面です。第4図の前の手で、自分には見えてない手がありました。
第3図
△2四歩まで
追加図
第3図から ▲6六飛 △7六歩
自分に見えていなかったのはこの手順。▲6六飛は一段目への成り込みを見せ、飛車の活用を見た手(の模様)。
対する△7六歩は△7七銀で詰めろと飛車取りなので放置できずここでの▲同飛右は当然のようです。よって下の記事の▲同飛右は一手パスとかいうのは間違いですね。
▲6六飛は△7六歩を呼んだので、あえて言えばこの手が悪手とのこと。替えて▲5四歩が良さそうというのがコメントのご意見です。
文のほうはこの手が見えていない状態で書いたので、ちょっと修正とかは出来ない感じですね・・・
ただ岬はとんでもない悪手を指したわけではなく、信歩の終盤力が岬を上回ったというみなとの解説は間違っていはいないようで、ここは訂正したいと思います。
悪手とか最善手とか色々と難しい問題がありますが、岬と信歩には大きな終盤力の差があったのは間違いないようです。
修正不能ということで、本来なら記事の削除が妥当ですが、ひどい勘違いの記事の一例として一応残しておくことにします。
簡単なお詫び記事でもう少しちゃんと訂正したいところですが、自分には力不足ということもあり、とりあえずこの状態にしておきます。ご了承下さい。
以下は第3図△2四歩のところと第4図の図面の歩の数を修正したものです。文はそのまま。
そういえばこの批判自体もどうなんだという気が・・・まあこちらも含めて申し訳ありませんでした。
2月25日追記
上記の手順と局面図、さらに文章を修正しました。重ねて申し訳ありませんでした。
「ものの歩」22話目の感想
今週は岬対信歩の終盤戦。
冒頭で早速士が投了し、竜胆は余裕の勝利。相当時間を余らせて勝っている模様。
蒼馬のいる将和高校もすでに決勝行きを決めて岬信歩戦を観戦。部長は岬の勝ちを確信していますが、蒼馬は「・・・・」と意味ありげ。
それから出た十歩! 良いところで出てきますね。でも岬が負けそうなので、今のところ謝るタイミングは無さそうですね・・・このままスルーか・・・
と役者が揃ったところで劣勢だった信歩がいよいよ逆転へ向けて爆発します。というか本当に爆発したかのような煙がムワッと出てきて何だかスゲえ!
将棋を指すシーンでこういうエフェクトを使うのは面白いなあ。劣勢から一気に逆転、非常に気持のいい展開ですね。
ただ今回はストーリー、迫力とも申し分ないのですが、将棋の部分でちょっと気になるところがありました。
今週の盤面
第1図
△7八飛成まで
先週のラストの局面。先手岬、後手信歩。
第2図
第1図から ▲同玉 △5四歩
後手は角を使わないととにかく話にならないのでこの一手か。
第3図
第2図から ▲3三歩 △同桂 ▲7一飛 △2四歩
先手は自陣はまだ大丈夫と判断し、▲3三歩で桂馬を釣り上げ、一段飛車での寄せを目指します。
後手は△2四歩と突き玉の逃げ道を確保。ここまでは自然な流れだと思います。
第4図
第3図から ▲7六飛
さあここが問題の局面ですね。この後の展開を見るとこれがどうやら悪手のようです。
ここから△7五金、▲5六飛、△、6五金、▲5八飛・・・飛車が逃げるだけで全く先手に良いところが無いですね。1手パスをした状態と言えると思います。
ですのでみなとの解説で「(岬は)判断ミスをした リスクを侵さない代わりに、『圧倒的な差』をつけきれなかった」とありましたが、実際のところこれは「圧倒的な差だったけど、ものすごい悪手を指したので逆転した」というのが正しいと思います。(実際に差があったのかどうかは不明)
もちろん悪手を完璧に咎められるのは終盤が強い証拠なので、信歩が怪物であることは間違いないのですが、今回は描こうとするストーリーと盤面に齟齬が生じていると言わざるをえないですね・・・
実は前回のラストの信歩の飛車切りは悪手という話があり、信歩は優勢だった可能性があります。そうなるとそもそも岬優勢、信歩劣勢のストーリーが成立しなくなってくるんですね。局面の評価は難しいので実際にはどうだったのかわからないんですが、漫画のストーリーに棋譜を合わせる難しさを感じます。
優勢の側が負けるのはほとんどの場合はミスによるものだと思います。終盤の強い人はミスをしない人とも言えますね。
岬は終盤が弱い設定でも無さそうですが、この場合はあまりに完璧な棋譜を目指すあまり、基本的な筋をうっかりした、みたいな展開が良かったかなあと思います。
小ミスが実は致命傷みたいな・・・ありがちっぽいストーリーですが、でもそういう棋譜を考えるのはすごく大変でしょうね。
第5図
△6七歩まで
今週の最終図。これは次に△6八銀以下詰むので、先手は何か受けないといけません。来週は追い詰められた岬が劣勢早投げの美学を貫くのかどうかの話になりそうです。この局面がまだ先手が粘れる形なのかどうかは自分にはわかりません・・・
まとめ
今週はエフェクト表現、演出の部分など、将棋漫画の可能性の大きさを感じたのですが、同時にその限界みたいなものも見えて、面白かったけど何だか複雑な気分にもなりました。
ストーリーを面白くしようとすると将棋の部分が犠牲になる・・・またその逆に将棋部分にこだわりすぎるとストーリーが盛り上がらない・・・将棋漫画にはそういう図式があるのかなあ。
また竜胆が説明していた信歩の矢倉特訓の意味ですが、なるほどと思う反面、だったら振り飛車には穴熊で良いよね、とも思ってしまいました・・・
ストーリー上のロジックとしては良いんですが、将棋のロジックとしては説得力に欠けてしまうんですよね。
ただ振り飛車に対し信歩が居飛車穴熊をやってしまうと、ストーリー的には盛り上がらないのもわかるんです。あえて無茶をするから面白いとも言えるので、こういうところも難しいなあと思ってしまいました。
まあ棋譜を精査して読む層なんてほんの一握りでしょうから、今の路線でも人気があれば問題は無いんですが、自分としては相反する要素をなんとかうまくまとめて、面白くてかつ将棋にも詳しくなるような漫画を期待したいですね。
2月23日追記
この記事ですが、色々と前提が違っていたり、思い込みがあったりと、内容や結論がおかしいところがあります。早めに修正したい思いますのでご了承下さい。