zekaoh's blog

将棋、雑記など

「将棋の渡辺くん」の感想

将棋の渡辺くん」伊奈めぐみ の感想

http://www.shonenmagazine.com/content/images/products/kc/201512/img_kc_watanabekun_01.jpg

将棋の渡辺くん読了。なんと表紙の犬はぬいぐるみでした。漫画内に出てくる擬人化されたキャラクターだと思ってました・・・
ロンちゃんかシロちゃんか、ぬいぐるみを笑顔でみつめながら将棋の研究をする渡辺竜王・・・中身を読んでからもう一度この表紙を見ると、この漫画の全てがここに表されているような気がします。実に良い表紙ですね。

渡辺竜王棋王棋士としての活躍は知っていますが、もちろんプライベートについては知らないので、この漫画に出てくる渡辺くんの姿にはものすごく笑わさせていただきました。まさかここまでぬいぐるみが好きな方面白い方だとは思ってませんでした。
将棋のトッププロにして合理主義の神経質で好き嫌いが激しく天然ボケの面も・・・漫画のキャラクターとして十分すぎるぐらいキャラが立ってます。
そしてもう一人、ツッコミ役の奥さんも面白いですね。天才も普通の人の一面があり、渡辺竜王の場合はその普通がちょっと変わっているわけですが、その一面を優しく見つめ厳しくツッコむ役回りの奥さん。この二人がいてこそこの漫画は成立していると思います。

そもそも自分はこの漫画は渡辺竜王だけでなく、ひふみんとか貴族とか他の棋士も取り上げるような将棋エッセイものなのかと思っていたんですが、まさかの全編渡辺くんネタオンリーでした。「将棋の渡辺くん」のタイトルに偽りは無く、エピソードの豊富さにはびっくり。ネタを提供する渡辺竜王もすごいんですが、それを漫画にする伊奈めぐみさんもまたすごく、全ページほとんど面白いのはさらに驚きました。
ネタバレになるのであまり内容は書きませんが、あれとかあのシーンとか、えっまさかこれ知らないのとかでびっくりしたり、ありえないと笑ったりでまあ面白い。

この方はおそらく他の題材でも面白い漫画が書けるんでしょうけど、旦那が対象ということで遠慮無く書けるというか、とにかく渡辺竜王が漫画内で生き生きとしてますね。本当に読んでて楽しい。この題材で漫画化を企画した編集者も偉いと思います。

基本的には将棋棋士としての渡辺竜王を知っていたほうがギャップでより楽しめる作品だと思うんですが、そのうちこの作品の「渡辺くん」のほうが有名になって、実際に竜王に会ったら普通でがっかりみたいなことになるんじゃないのかな。

第2巻は2016年夏頃とのこと。カバーにはぬいぐるみの写真あり。カバーを外すと本体に4コマ漫画も載っています。

ちょっと気になるのは帯ですね。「人はなぜ生きるのか」と裏には不思議な文章が載ってます。
自分なら「天才の社会との苦闘とその旦那に対する奥さんの苦闘の物語」ですか。

わかりにくいっすね・・・