「ものの歩」22話目の感想
お詫び
2月24日追記
今週のこの感想記事の将棋の部分ですが、前提となる棋譜の認識に誤りがあり、結果として批判が間違ったものになりました。
この間違った記事を読んでくださった皆さん、またあらぬ批判をしてしまった作者や監修者の方々に深くお詫びを申し上げます。申し訳ございませんでした。
修正というか、追加の図面です。第4図の前の手で、自分には見えてない手がありました。
第3図
△2四歩まで
追加図
第3図から ▲6六飛 △7六歩
自分に見えていなかったのはこの手順。▲6六飛は一段目への成り込みを見せ、飛車の活用を見た手(の模様)。
対する△7六歩は△7七銀で詰めろと飛車取りなので放置できずここでの▲同飛右は当然のようです。よって下の記事の▲同飛右は一手パスとかいうのは間違いですね。
▲6六飛は△7六歩を呼んだので、あえて言えばこの手が悪手とのこと。替えて▲5四歩が良さそうというのがコメントのご意見です。
文のほうはこの手が見えていない状態で書いたので、ちょっと修正とかは出来ない感じですね・・・
ただ岬はとんでもない悪手を指したわけではなく、信歩の終盤力が岬を上回ったというみなとの解説は間違っていはいないようで、ここは訂正したいと思います。
悪手とか最善手とか色々と難しい問題がありますが、岬と信歩には大きな終盤力の差があったのは間違いないようです。
修正不能ということで、本来なら記事の削除が妥当ですが、ひどい勘違いの記事の一例として一応残しておくことにします。
簡単なお詫び記事でもう少しちゃんと訂正したいところですが、自分には力不足ということもあり、とりあえずこの状態にしておきます。ご了承下さい。
以下は第3図△2四歩のところと第4図の図面の歩の数を修正したものです。文はそのまま。
そういえばこの批判自体もどうなんだという気が・・・まあこちらも含めて申し訳ありませんでした。
2月25日追記
上記の手順と局面図、さらに文章を修正しました。重ねて申し訳ありませんでした。
「ものの歩」22話目の感想
今週は岬対信歩の終盤戦。
冒頭で早速士が投了し、竜胆は余裕の勝利。相当時間を余らせて勝っている模様。
蒼馬のいる将和高校もすでに決勝行きを決めて岬信歩戦を観戦。部長は岬の勝ちを確信していますが、蒼馬は「・・・・」と意味ありげ。
それから出た十歩! 良いところで出てきますね。でも岬が負けそうなので、今のところ謝るタイミングは無さそうですね・・・このままスルーか・・・
と役者が揃ったところで劣勢だった信歩がいよいよ逆転へ向けて爆発します。というか本当に爆発したかのような煙がムワッと出てきて何だかスゲえ!
将棋を指すシーンでこういうエフェクトを使うのは面白いなあ。劣勢から一気に逆転、非常に気持のいい展開ですね。
ただ今回はストーリー、迫力とも申し分ないのですが、将棋の部分でちょっと気になるところがありました。
今週の盤面
第1図
△7八飛成まで
先週のラストの局面。先手岬、後手信歩。
第2図
第1図から ▲同玉 △5四歩
後手は角を使わないととにかく話にならないのでこの一手か。
第3図
第2図から ▲3三歩 △同桂 ▲7一飛 △2四歩
先手は自陣はまだ大丈夫と判断し、▲3三歩で桂馬を釣り上げ、一段飛車での寄せを目指します。
後手は△2四歩と突き玉の逃げ道を確保。ここまでは自然な流れだと思います。
第4図
第3図から ▲7六飛
さあここが問題の局面ですね。この後の展開を見るとこれがどうやら悪手のようです。
ここから△7五金、▲5六飛、△、6五金、▲5八飛・・・飛車が逃げるだけで全く先手に良いところが無いですね。1手パスをした状態と言えると思います。
ですのでみなとの解説で「(岬は)判断ミスをした リスクを侵さない代わりに、『圧倒的な差』をつけきれなかった」とありましたが、実際のところこれは「圧倒的な差だったけど、ものすごい悪手を指したので逆転した」というのが正しいと思います。(実際に差があったのかどうかは不明)
もちろん悪手を完璧に咎められるのは終盤が強い証拠なので、信歩が怪物であることは間違いないのですが、今回は描こうとするストーリーと盤面に齟齬が生じていると言わざるをえないですね・・・
実は前回のラストの信歩の飛車切りは悪手という話があり、信歩は優勢だった可能性があります。そうなるとそもそも岬優勢、信歩劣勢のストーリーが成立しなくなってくるんですね。局面の評価は難しいので実際にはどうだったのかわからないんですが、漫画のストーリーに棋譜を合わせる難しさを感じます。
優勢の側が負けるのはほとんどの場合はミスによるものだと思います。終盤の強い人はミスをしない人とも言えますね。
岬は終盤が弱い設定でも無さそうですが、この場合はあまりに完璧な棋譜を目指すあまり、基本的な筋をうっかりした、みたいな展開が良かったかなあと思います。
小ミスが実は致命傷みたいな・・・ありがちっぽいストーリーですが、でもそういう棋譜を考えるのはすごく大変でしょうね。
第5図
△6七歩まで
今週の最終図。これは次に△6八銀以下詰むので、先手は何か受けないといけません。来週は追い詰められた岬が劣勢早投げの美学を貫くのかどうかの話になりそうです。この局面がまだ先手が粘れる形なのかどうかは自分にはわかりません・・・
まとめ
今週はエフェクト表現、演出の部分など、将棋漫画の可能性の大きさを感じたのですが、同時にその限界みたいなものも見えて、面白かったけど何だか複雑な気分にもなりました。
ストーリーを面白くしようとすると将棋の部分が犠牲になる・・・またその逆に将棋部分にこだわりすぎるとストーリーが盛り上がらない・・・将棋漫画にはそういう図式があるのかなあ。
また竜胆が説明していた信歩の矢倉特訓の意味ですが、なるほどと思う反面、だったら振り飛車には穴熊で良いよね、とも思ってしまいました・・・
ストーリー上のロジックとしては良いんですが、将棋のロジックとしては説得力に欠けてしまうんですよね。
ただ振り飛車に対し信歩が居飛車穴熊をやってしまうと、ストーリー的には盛り上がらないのもわかるんです。あえて無茶をするから面白いとも言えるので、こういうところも難しいなあと思ってしまいました。
まあ棋譜を精査して読む層なんてほんの一握りでしょうから、今の路線でも人気があれば問題は無いんですが、自分としては相反する要素をなんとかうまくまとめて、面白くてかつ将棋にも詳しくなるような漫画を期待したいですね。
2月23日追記
この記事ですが、色々と前提が違っていたり、思い込みがあったりと、内容や結論がおかしいところがあります。早めに修正したい思いますのでご了承下さい。
「しおんの王」(漫画版)の感想
「しおんの王」(漫画版)の感想
漫画版は全8巻。電子書籍版を購入。原作者のかとりまさるは元女流棋士の林葉直子さんとのこと。
将棋漫画としてはかなり凝った設定で、女流棋士の世界を描くとともに、主人公である紫音(しおん)の両親殺害事件の謎も描くミステリーの要素もある。
読む前はこのミステリーの部分が主なのかなと思っていたが、実際はかなりしっかりと対局シーンが盛り込まれ、あくまでも将棋のストーリーが中心だった。
各キャラクターは始めは裏表のある曲者ばかりかなと思っていたら、ほとんどのキャラクターは将棋に対しては非常に真摯で、盤上での戦いは非常に熱いものが見られた。
対局シーンはかなり濃厚。盤面全体はあまり映らず、セリフと部分的な局面、対局者の心理描写と観戦者の解説で盤上の激しい攻防が表現されている。さすがに対局の流れやポイントになる盤面等、女流棋士だっただけはあり的確で説得力がある。作画も迫力あり。
漫画版では話と話の間に原作者かとりまさるによる対局の解説ページがあり、図面も使ってポイントの手の意味などがわかるようになっている。これは将棋ファンにはありがたいサービス。ただ若干誤記や不十分な解説もあったのでそこは残念。
ストーリーは基本的には主人公紫音にまつわる事件の謎で引っ張る形だが、ライバルとの戦いや、王子様との出会いなど、彼らとの関わりを通した紫音の成長物語としても読める。
内容としては様々なストーリーが盛りだくさんで、読み始めたら止まらない感じなのだが、若干中終盤のトーナメントのあたりは対局シーンが多く将棋描写に偏りすぎに思え、思ったほど世界が広くないような印象も持った。
将棋漫画なので将棋描写が多くて当たり前なのだが、少々将棋愛がストレート過ぎる世界かなとも思った。ただ嫌味がない世界も悪くはないので、ここは個人的な好みの問題か。
この作品の最大の問題はネタバレ部分なのでこの感想では触れない。ただあのアイデアが浮かぶ人はただ者ではないだろうなあ。自分としては驚きもし、また凄いアイデアだなと思ったが、同時にこれはちょっとどうなのとも思った。原作のままでも良いのだが、もっと違った展開もあり得たようにも思える。ラストも紫音とあの人との関係性の話にして欲しかったかな。
もっとドロドロ人間関係が描かれたダークな作品だと思っていたので、読んでみてすごくまっとうでさわやかな将棋漫画だったので意外な作品だった。ダークだと思い込んでいたのは林葉直子さんのイメージから・・・林葉さんすいません。
系統としては少女漫画に入るのだろうか、自分はそちら側の教養がないのでわからないが、恋愛の代わりに将棋愛がテーマになっているのかなと思った。
キャラクターとしては紫音が無垢で良い子で可愛らしすぎるのだが、これも少女漫画的なキャラクターなのかな。紫音の年齢が低いので、あまりダークなストーリーにはならず、ほがらかで楽しい部分もあるストーリーになっていると思う。
将棋ではなく恋愛ものとしてこのストーリーを見ると、ラストのあの人は紫音に告白して振られた展開になるわけで、これがもう少し紫音の年齢が高く、恋愛ものの要素を大きくすると、あのラストの結末も変わったものになるのかもしれない。将棋とは関係なくなるが、歪んだ愛を強調した話でも面白くなりそうではある。
あんまり漫画に詳しくない自分が言うのも何だが、将棋漫画としては一級品だと思う。若干長いような気もするが、サスペンスとしても面白く読める。問題は将棋の分からない人が読んでどう思うかだが、意外と対局描写が多いので、雰囲気だけで読むにしても大変かもしれないなあ。
まあとにかく面白かったので、原作者の林葉直子さんにはまたこういう話を書いて欲しいところ。将棋がわかっていてストーリーも作れる貴重な存在なのだから、もっと活躍して欲しいと思った。
「踊り子と将棋指し」の感想
「踊り子と将棋指し」坂上琴(2016)の感想
![踊り子と将棋指し 踊り子と将棋指し](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61KO8Yaej6L._SL160_.jpg)
- 作者: 坂上琴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
たまたま本屋さんで見かけたので購入。
小説についてはこちらの記事をどうぞ。
小説現代12月号に小説「踊り子と将棋指し」の抄録が掲載 - zekaoh's blog
あらすじは記憶を失ったアルコール依存症の中年男性とストリッパーが出会い、一緒にストリップ巡業の旅に出かけ、徐々に記憶を取り戻し依存症と向き合うようになっていくというもの。
主な題材がアルコール依存症ということで深刻な暗い話に思えるが、出て来る人たちはみな情に厚く、辛いこともあっけらかんと受け入れるようなキャラクターばかりなので、読んでいて暗くなるということはない。文章も簡潔で非常に読みやすかった。
もう一つの題材であるストリップ業界の描写は詳細で、ストリップのシーンも生々しい臨場感があり楽しく読むことが出来た。
主人公は勃起不全という設定で、いわゆる下の話は多いので女性や子供が読むのはあまりおすすめしない・・・
自分としてはストリップぐらいの性描写なら良かったのだが、後半にある性行為描写まで行くとちょっと露骨すぎて読んでてキツく感じられた。
この部分がこの作品の肝の一つであるのはわかるのだが、一般向けの小説としては少し行き過ぎている感じ。そもそもこの本は性の話、大人のお色気話として読んだほうが良いかもしれない。
将棋のシーン
将棋のシーンは少ないが何回か対局シーンがあった。ネタバレかもしれないので将棋の話は以下少し離して書く。
主人公は酒の飲み過ぎで倒れ記憶喪失になった中年男性だが、正体は将棋のプロ棋士である。現在A級八段で、タイトル戦の最中に倒れてそのままタイトル戦は不戦敗、その後病気療養のため半年間休場扱いになっているというのが後半に明かされる。治療のため入所していたアルコール依存症の施設から脱走し、飲み屋でストリッパーのヒロインと出会うというのが冒頭までの話。
主人公は若干18歳でタイトルを獲得、その後は順位戦で勝ち上がれず、40歳にしてA級に昇級とどこかで聞いたことのある経歴。しかも趣味は競馬、競艇なので、経歴のモデルはおそらく屋敷九段と思われる。
ただ得意戦法は屋敷九段とは違い後手番9四歩戦法というオリジナル戦法。小説では真剣師との勝負もあるがこの戦法で全く負けない。
主人公は阪田三吉の弟子筋にもあたるという設定なので、戦法のモデルは当然阪田三吉のようだが、後手番9四歩戦法という戦法自体は実際には無いと思うのでここは作者の想像だろう。
入玉勝ちのシーンが多いので、もたれて指すようなイメージの戦法か。
物語のラストで主人公が昔を振り返る対局は符号で描写され、これは南禅寺の決戦がモデルになっていると思われる。
1937年2月5日 先手:木村義雄八段 後手:阪田三吉
(棋譜を見やすい将棋盤で表示するために,Fireworks さんが作成されたアニメーション付棋譜再現プレーヤー 「フラ盤」を使用させていただいています.)
この南禅寺の対局では阪田三吉が負けるのだが、小説での主人公は勝ってタイトルを獲る事になる。
この小説の将棋部分に関してはA級棋士が行方不明になっているので、まずもっと大騒ぎになっていてもおかしくないんじゃないかと疑問に思った。将棋界のスキャンダルは週刊誌に小さく取り上げられるくらいは話題性があるはず。隠蔽工作があったとは言え、アル中でタイトル戦休場となれば裏で相当囁かれるようにも思える。
小説の主眼からは外れるが、主人公を知っている将棋界の誰かを登場させて、A級棋士の行方不明を社会的な事件として描くというのも面白かったんじゃないだろうか。客観的な視点が欠けているように思うので、今作の棋士の描き方はやっぱりどこかファンタジーっぽく見えてしまった。
ただ棋士のイメージからするとかなり大胆なことをこの小説ではさせられ、そのシーンは将棋ファンからするとかなり驚くのだが、これが出来るのは棋士をファンタジーっぽく描いているからとも言える。そう考えると将棋部分に関してはこれくらいのリアリティでいいのかもしれない。
まとめ
感想としては酸いも甘いも噛み分けた大人が軽い感じで読むような、ちょっと小粋な世界を楽しめる作品だった。
将棋やストリップなど題材が古臭いようにも思えるが、読んでみると特にそういう風には感じなかった。軽妙な文体だからだろうか。
アル中小説、軽妙な文体ということで、中島らもをちょっと思い出したが、あちらほど破滅的な感じはせず、こちらは健全な常識人が描いている感じがする。自分としては後半の性描写を除けばバランスが取れた良い作品に思えた。
将棋描写目当てで読むのはおすすめしませんが、大人の方が気楽に読むぶんには面白いかと思います。
「ものの歩」21話目の感想
「ものの歩」21話目の感想
今週は岬対信歩の中盤戦。白熱した戦いが繰り広げられる・・・のですが、駄目だその前の士(つかさ)の回想シーンが面白すぎる。棋譜見て興奮して鼻血とか岬は完全に頭がおかしいじゃないですか・・・モザイクもかかってるし・・・
岬がここまで振り切れたキャラクターだったらそりゃ士もしょうがないかと思うよね。これはギャグシーンではあるけど同時にこのコンビの関係性を示すシーンにもなっていて良いエピソードに思います。みなとの適当な受け答えのシーンも面白かったし、なんというかここのところ作者の筆がノッているような気がするなあ。楽しいシーンはもっと見たいですね。
その後は緊迫した対局シーンで、岬の強さは圧倒的でこの団体戦初の信歩のピンチ。楽しいシーンもですが、力の差に絶望するシーンも上手いですね。そこから立ち直る信歩も迫力があってかっこ良く描けていると思います。今週は久々に主人公らしいシーンの連続でギャグだけじゃなくこちらも良かったです。
そういえば絶望中の回想で高校受験失敗のシーンが出てきましたが、信歩にとっては不合格がよっぽど心の傷になっているんですね。背景がいまいちわからないので若干エピソードとしては弱いようにも思えますが、信歩らしいと言えば言えるエピソードではあります。信歩の家庭環境などが描かれるのはまだ先の話ですかね。
今週の盤面
第1図
△3一角まで
先手が岬、後手が信歩。
先手の銀の位置が4七ですね。この後岬は飛車を5八に振って矢倉中飛車の形にします。ただこの矢倉中飛車は普通は後手が仕掛ける急戦戦法のように思うのですが(うろ覚え)、あえて先手でやって自分のペースにしようという岬の作戦ですかね。
第2図
△6四歩まで
盤面はこれで合っているのかな。歩の数は不明です。
漫画ではこの局面はすでに先手の術中のようですが、自分にはこの後の進行はわかりませんね・・・作者さん棋譜をお願いしま~す。
第3図
△7八飛成まで
今週のラストの手。これは取る一手ですが、この後の後手の指し方はどういう方針で行くのかな。小駒だけで意外と攻めが続くのか、それとも・・・
先手は間違えなければ勝てそうですが、一体どういうドラマが待っているのか楽しみですね。
まとめ
今週はギャグあり、ピンチあり、覚醒ありと「ものの歩」の基本的な良さが出た回だったんじゃないかと思います。
うーんこれぐらい面白く出来るとなると前回までの十歩編ももう少し頑張って欲しかったかなあ。まああれはあれで良かったのかもしれませんが・・・
来週が決着編なのかどうかわかりませんが、終わらせるのがもったいない良いバトルですね。あとは負けさせ方だなあ。
十歩も岬も魅力的なキャラクターだけに、なるべくうまく負けさせてあげたいですよね。岬が劣勢早投げの美学を貫いて負けると何かせっかく上がった株が下がりそうなので、そこだけは不安な感じですね。岬と士のコンビが壊れないようなうまい決着を期待します。
うーん漫画が面白いので自分の感想がなんだかつまらない感じになっているなあ。もうそろそろ感想も卒業ですかね・・・
第1期 電王戦のスケジュール
第1期 電王戦公式サイト
info.nicovideo.jp
第1期 電王戦スケジュール |
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2月28日(日) |
電王戦特番1 徹底解剖 山崎隆之叡王 |
3月12日(土) |
電王PONANZAに勝てたら300万円! 1日目 |
3月13日(日) |
電王PONANZAに勝てたら300万円! 2日目 |
3月27日(日) |
電王戦特番2 対コンピュータ将棋塾 |
4月9日(土) |
電王戦第1局 1日目 |
4月10日(日) |
電王戦第1局 2日目 |
4月16日(土) |
電王戦特番3 最終決戦に向け作戦会議 |
5月21日(土) |
電王戦第2局 1日目 |
5月22日(日) |
電王戦第2局 2日目 |
とりあえず思ったのは第一局と第二局の間が長いということ。ちょっと驚くほど長い。団体戦のように1週間ぐらいでやるんだと思ってた。
この約40日という間隔はイベントとしてはどうなのかな。流れで一気にやったほうが面白そうだけど、これはプロ側の準備不足とかそういう言い訳を許さないためのものなんだろうね。それにしても長い。
会見の様子もチラッと見たけど、山崎隆之叡王が緊張しているわけではなさそうだけど、どこか恐縮気味で受け答えも固い。
対するponanza山本氏は意気揚々としていていつも通り楽しそう。なんだろうなこの差は・・・山崎叡王はそこまでプレッシャーを受けなくても良さそうだけど、棋士代表という立場は我々が考えているより相当重いんだろうなあ。
もうお祭り感覚で良いと思うんだけどね。タイトル戦の威厳とか格式とか、そういうのは電王戦に限っては余計なような。重たくしたがるのはあんまり良くない傾向だと思うな。
今年はいいとして、来年も再来年も電王戦は続くのかという疑問はあるなあ。今年の結果次第でルールを変えたりしてなんとか継続していくのかな。
羽生、渡辺の叡王戦出場もどうなるんだかわからないし、基本的には先の見えない棋戦ではある・・・そう考えると山崎叡王が責任を感じるのも仕方がないと思えるな・・・
「ものの歩」20話目の感想
「ものの歩」20話目の感想
今週は団体戦準決勝、信歩対岬の序盤戦。センターカラーということで美しい表紙が拝めます。なんとなくアニメのポスターみたいですね。気が早いですが連載が続いていけばいずれはアニメ化するのかな。
今週はじっくりと序盤の駆け引きが描かれました。たった3手の間の話ですが、この盛り上げ方はいいですね。これまでちょっと話が性急すぎるように感じていたので、こうしたゆっくりと間合いをとるような緊張感の表現は読んでいて楽しいです。
メガネの能塚さんもいい感じに雰囲気に驚いていて、上手いキャラクターの使い方だなと思いました。
今週の盤面
初手 ▲7六歩
2手目 △8四歩
3手目 ▲6八銀
先手岬、後手信歩。
まあ図にする必要はないけど・・・
漫画内ではこれで矢倉確定のようになっていますが、実際はまだ先手は振り飛車にも出来るので、断定するのはちょっと早いかなとは思います。
でも一応矢倉になる流れの序盤ですし、信歩が矢倉オンリーという情報はみんな知っているようなので、この出だしでギャラリーが「相矢倉だ!」どよめくのもそんなにおかしいわけではないようにも思います。
ただ来週岬がいきなり飛車を振る展開も無くはないので注意は必要ですね・・・いやさすがにこれは無いか。
まあそんなことよりも岬が美しい棋譜を残したいと強く願っていることが意外でしたね。これは単なる負けフラグ・・・のようにも思えましたが、もしかしてこのシーンは高校で岬は将棋をやめることを意味しているのではないかなあ。
岬は奨励会に行けるレベルの強さに思えるし、行かないのは何か理由があるんでしょうね。そうなるとこの準決勝、色々なものがかかったすごく重たい勝負になっていくのかもしれません。
十歩戦での強すぎる勝ち方で、自分の中で岬の株はかなり上昇中。今週号を読んでだんだんいいキャラクターに思えてきました。
強さや美学もそうですが、裏がないというか、期待を裏切らなそうなところがいいですね。漫画はキャラクターがよければ後は何でもいいのかもしれませんね(極論)。
劣勢早投げの設定もドラマの材料としてうまく使ってくれることを期待します。
まあ今週の感想は短いですがこんなもんで・・・
そういえば今週も記事ページは無かったですね。ちょっと残念。それから十歩の謝罪シーンも無し・・・サーセン、岬さんサーセン(代わりに謝罪)。
何だろう、連載が軌道に乗ってきたからか、だんだん応援の意味で感想を書く動機が下がってきたかなあ。
今週の展開の引っ張り具合なんてジャンプ漫画らしい感じがしてすごく安定感があったし、もう自分が拙い感想を書くような段階ではないように思えてきました・・・うーんこの自分の天邪鬼なファン心理、困ったもんです。
「ものの歩」19話目の感想
「ものの歩」19話目の感想
ま、負けました・・・
と、十歩に代わって私が岬に投了をするという謎の出だしですが、今週は十歩対岬の決着編。
先週衝撃の回想シーンで信歩と戦うための異常な執念を見せた十歩。格上相手とはいえ、この執念ならもしかしたら岬に勝つかも・・・と期待したんですが残念ながら悲しい展開になってしまいました。
玉が詰みになるも、負けを受け入れられず、投了の意思表示もせずに盤の前から飛び出す十歩。それやっちゃダメ!なんですがしょうがない。先週の気合の入りようは凄かったからなあ。まさかこういう形の結末が待っているとは・・・
ボロボロになった十歩ですが、救いになったのは信歩の言葉でした。自分はてっきり信歩が十歩を慰めるんだと思って読んでいたんですが、多くを語らず一言だけ声をかけてすれ違う信歩。そこには信歩なりの思いがあり、それによって十歩は立ち直るのでした。ナイス信歩。
今回話としてはうまくまとまっていて良かったんですが、若干十歩の将棋での見せ場が足りないかなとは思いました。ほとんどいいところ無く負けるのが必要だったとはいえ、もう少し十歩の戦いっぷりは見たかったような。またこの終わりかただと十歩が素直になりすぎて、こじらせキャラとして今後出番が無くなるような感じもしますね・・・
先週から今週へ急転直下と十歩編、ある意味衝撃の展開ではありました。今回は先輩らと仲良くなるイベントだったですが(?)、竜胆などのメインキャラと仲良くなるイベントがまだ残っているので、十歩ストーリーまだまだ続いていってほしいなあ。
今週の盤面
2009年2月6日 順位戦 B級1組 久保利明 対 井上慶太
(棋譜を見やすい将棋盤で表示するために,Fireworks さんが作成されたアニメーション付棋譜再現プレーヤー 「フラ盤」を使用させていただいています.)
棋譜は将棋の棋譜でーたべーすさんから
十歩対岬の元になった棋譜。完全に同じではなく、漫画では1筋の端歩が突きあいが入っています。この改変は局面検索で引っかからないようするためでしょうか。
第3図
△5七龍まで
漫画版の投了図。完全な詰みですね・・・ある程度強い人でここまで指すのは通常は無いことなので、この局面は十歩の無念さを表したものになっています。信歩との勝負も見たかったですね。
それにしても高校生で負けてああいう事する人はいるんでしょうか・・・
久保井上戦の感想
34手目 △5三飛まで
先週の盤面で気になった後手の△5三飛。持ち駒の飛車を自陣に打ったこの手が序盤の好手なのかな。
60手目 △8四飛まで
59手目 ▲7二歩に対し△8四飛と角を取った局面。先週は何か変わった手を指すのかなと思ったんですが、指されてみれば当然の対応に思えますね。
この棋譜をざっと見たのですが、かなりの乱戦で形勢などはよくわかりませんでした。漫画だと後手がリードし続けた棋譜とのことなので、かなり序盤の段階で先手が手を変える必要があった将棋なんでしょうかね。
今回はプロの棋譜が元ネタということで、先週の段階ですでにどの棋譜が使われたかが一部の将棋ファンにはわかってしまっていました。
勝敗のネタバレ問題があったわけですが、棋譜の勝敗は作り手側で変えることが出来るとはいえ、こういう情報は意外と気になってしまうものなんだなと思いました。
まあ元ネタの勝敗を知ったとしても、漫画でも必ずそうなるわけではないので気にしなければいいんですが、どちらか片一方のネタバレを食らってる感じがするからなのか、なんかモヤモヤするんですよね。
勝敗に関してはオリジナルの棋譜を使うのがネタバレ(?)が無いので望ましいのかなとも思いますが、プロの対局で生まれる美しい棋譜、カッコいい手などはどんどん漫画で使って欲しいんですよね。今回の久保-井上戦も面白い将棋でした。まあ解説が無いのでよくわかってないんですが・・・
後やっぱり漫画で指された将棋がどんな将棋だったか、棋譜が見れるのは良いですね。ここはプロの棋譜を使うメリットだと思います。今回はこのブログのコメント欄で詳しい方が教えてくれたのですが、普通の人でも探せるように、できれば漫画内で決着がつく回とかに参考棋譜の情報を載せてくれるといいかと思います。
ほとんどのものの歩ファンにとってはどうでもいい話ですが、一応将棋ファンのはしくれとしてプロの記譜使用について思ったことを書いてみました。
まとめ
来週はセンターカラーとのこと。信歩と岬戦ですが、十歩をボロボロにした相手にどうやったら信歩が勝てるんでしょうか。あまりにも高い壁に思えますね。十歩戦での岬の「・・・」が何かの伏線になっているのかな。十歩のおかげでハードルが上がって楽しさ倍増ですね。さすが十歩。そういえば将棋部の先輩など、登場人物がみんなJippoを知っているのが面白かったなあ。実はすごい有名人なのね。
今週は記事ページは無し。毎週やるもんだと思っていましたが、不定期のようでちょっとがっかり。まあこれも来週に期待ですね。それではまた。